本書は、「アラブの春」の只中にエジプトの首都カイロに移り住んだ日本人女性イスラム研究者が、混乱と危険に満ちた日々を描くノンフィクション・エッセイです。
著者は1歳の娘と夫と共にカイロに降り立ち、そこで体験した数々の衝撃的な出来事を綴っています。
例えば、頭上からバルコニーが落ちてくる危険や、イスラムの大物指導者からの厳しい言葉、女性として街を歩く際のセクハラ、異教徒としての差別、エジプトのスラム街の悲惨な実態などが描かれています。
2011年から2015年のエジプトは、政治、経済、社会、治安の全てが不安定で、時には極めて危険な状態が恒常化していました。
著者は、爆弾テロや銃撃、誘拐が頻発する中で、外出を控えざるを得なくなり、家に留まる生活を余儀なくされました。
この本は、独裁政権が倒れた後のエジプトの混乱の中で強く生き抜いた著者の体験を通して、「アラブの春」の真実とその影響を深く知ることができる一冊です。
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